量子もつれ

"不気味な遠隔作用 (Spooky Action)"

粒子状態: 未決定 (重ね合わせ)

👻 アインシュタインの悩み:量子力学の奇妙さ

量子もつれ (Quantum Entanglement)は、量子力学において最も奇妙で理解しがたい現象の一つです。二つの粒子が特別な方法でペアになると、互いにどれほど離れていても(たとえ宇宙の端と端であっても)、一つの運命共同体のように繋がります。片方の粒子の状態が決定された瞬間、情報をやり取りする暇もなく、反対側の粒子の状態も即座に決定されます。

📜 EPRパラドックスとアインシュタインの反論

アインシュタインは、光より速いものはないという相対性理論に反するとしてこの現象を否定しました。彼はこれを「不気味な遠隔作用 (Spooky action at a distance)」と呼び、量子力学が不完全だと主張しました(EPRパラドックス)。彼は粒子たちが最初から結果を決めておいて別れたのだと考えました(隠れた変数理論)。

🔗 ベルの不等式と局所性の崩壊

しかし、1964年にジョン・ベルが考案した不等式とその後のアラン・アスペなどの実験を通じて、アインシュタインが間違っていたことが証明されました。宇宙は私たちの常識と異なり非局所的 (Non-local)です。つまり、観測するまでは粒子の属性は決まっておらず、観測した瞬間に宇宙的な距離を飛び越えて互いに影響を及ぼすのです。

💻 量子通信と未来技術

この奇妙な現象は単なる理論にとどまりません。もつれを利用すれば、盗聴が原理的に不可能な量子暗号通信が可能になります。また、スーパーコンピューターでも数万年かかる問題をわずか数秒で解決する量子コンピューターの核心的リソースとして、21世紀の技術革命の中心にあります。