"簡単な解法と簡単な検証の違い"
P vs NP問題は21世紀の数学の7大難問(ミレニアム懸賞問題)の一つで、賞金はなんと100万ドルです。簡単に言えば「検算が簡単な問題は、解くのも簡単か?」という問いです。掛け算は計算も検算も簡単ですが(P問題)、巨大な数の素因数分解は答えがわかっていれば検算は簡単ですが、その答えを見つけ出すのは非常に困難です(NP問題)。
私たちが使うインターネットバンキングや仮想通貨のセキュリティは、P≠NPという仮定の上に成り立っています。もし誰かがP=NPであることを証明すれば(つまり、難しい問題も簡単に解くアルゴリズムを発見すれば)、世界中のすべての暗号システムは瞬く間に崩壊するでしょう。
この問題はコンピューターができることの限界を問うものでもあります。巡回セールスマン問題 (TSP) のように都市が増えるほど計算量が指数関数的に爆発するNP問題に、実は効率的な近道(P問題)が存在するのでしょうか?多くの学者は「そうではない (P≠NP)」と信じていますが、まだ証明されていません。