黒死病

"ヨーロッパを覆った死の影"

1347年 シチリアの港

💀 中世を終わらせた大災厄

1347年、黒海から来た貿易船に乗っていたネズミとノミを通じてペスト菌がヨーロッパに上陸しました。肉が黒く腐っていくことから黒死病 (Black Death)と呼ばれたこの病気は、わずか数年でヨーロッパ人口の1/3から半分に相当する7,500万人以上の命を奪いました。祈りでも医学でも防げない死を前に、人々は恐怖に震えました。

📚 逆説的な希望

しかし黒死病は逆説的に中世封建制を崩壊させるきっかけとなりました。人口が急減すると労働力が貴重になり、生き残った農奴たちの賃金と地位が上昇しました。教会に対する盲目的な信頼が揺らぎ、人間中心の思考(ルネサンス)と科学的医学が芽生え始めました。死が古い時代を終わらせ、新しい時代を開いたのです。